《緊急提言》
ハブ空港・ハブ港湾の早期実現と最近の全県FTZの動向について


「観光とけいざい」第526(98年6月15日)・第527号(98年7月1日)より

(社)沖縄県貿易協会専務理事・崎原永広



日米安保は沖縄振興策の大義名分となる

 昨今の厳しい国内情勢、特に沖縄の基地問題について、世論が沸騰しているが、特に全県フリートレードゾーンと合わせて、私の意見を述べたい。

 現在、各省庁が出している八十八項目の他、県側、経済界より出されている案は、大体、出揃っているよう思われるが、肝心なのはこれからであり、沖縄の将来につながるプロジェクトを国家プロジェクトにまで格上げしなければ、ただのリップサービスにとどまる事を憂うものである。

 国家プロジェクトに上げるためには、わが国の人口の一%の県民のために税金を使う大義名分が絶対必要である。

 我が県は戦後日米安保条約のもと、日本の防衛に膨大な軍事基地を押し付けられ、日本国は軍事費がかからず、未曾有の経済発展をし、経済大国となり得た。日本国民全体が我々県民の苦痛に対して、充分な補償をすべき義務がある事を前面に出し、胸を張って主張すべきである。

 当県経済の今までの推移を見ると、復帰までは基地経済がその根幹をなしていたが、復帰後は、観光経済が主流をなしている。ところが、観光産業は、将来性が不透明であり、長崎県、宮崎県のように先細りする危険性があり、将来の発展に確信をもてない。


15m水深の埠頭整備が急務

 そこで貿易協会が主張する将来の経済展望には、中継貿易基地が最有力と考えられる。

 沖縄の祖先が一四世紀〜一五世紀にかけて繰り広げた大交易時代は、我々に偉大な教訓を与えた遺産であり、時代の背景が異なっていても現代の若者がそのロマンを求め、沖縄経済の発展に寄与できると確信している。

 沖縄県は、我が国の南の玄関口、南の拠点としての地理的条件を活用し、中継貿易基地として発展すべきであるといわれて久しいが、その有利な条件をどのように具体化し、実現するかについては、どの論争も明示されていないのが現状である。

 めまぐるしく変転する現在の国際経済環境の中で、一日も早く具体策を探り出し実現に向けて努力すべきである。

 先ずは、沖縄県の沖合を素通りしているヨーロッパ航路、北米航路の国際大型コンテナ船が寄港できる水深十五mの港湾インフラ整備と荷役業務をスピード化するコンピュータシステム化の整備が急務である。

 現在、外貨を取り扱っている那覇港は水深が浅く、また、港湾関連用地が狭く、国際大型コンテナ船が寄港できず、沖縄向け貨物は釜山、または、高雄港より小型コンテナ船に積み替えられてくるため、二倍〜二・五倍の非常に高い追加運賃を支払わされているのが現状である。

 そこで、早急に十五m水深の接岸埠頭を中城湾港に建設し、多目的ガントリークレーンを設置すべきであるというのが私の提言である。多目的ガントリークレーンとは、普通のコンテナクレーンと異なり、バラもの・長尺もの・重量ものなど多目的に活用できるクレーンの事であり、中城湾の工業団地には必ず設置すべきである。中城湾港は外貨貿易港と位置付け、現在の那覇港は国内貨物の取り扱い港として発展させるべきであるというのが私の基本的考えだ。

 現在の那覇港は、将来外貨貨物が増大した場合、港湾関連用地に物理的な限界があり、また、現在の那覇港の防波堤はこれ以上外に拡大できない致命的欠陥がある。那覇空港の滑走路の真下に当たり、大がかりな港湾設備の建設は不可能である。

中継基地としての中城湾港

 台湾の港湾を例にとる。基隆港は天然の良港であり、水深も深く、関連施設も整備されているが、現在、国際コンテナ船は基隆港をさけ、高雄港に約九○%集中している。

 その最大の理由は、基隆港の後背地が山であり、コンテナヤードを一山越えた八斗子という旧石炭貯蔵所であったところに作ったためで、港からの時間的浪費と横持料金の負担が大きいため、高雄港に移っているいきさつがある。

 仮に、那覇港に外貨ターミナルができても、コンテナヤードを作る場所が皆無。しかし中城湾港を貿易中継基地として位置付ける事により、九州の各地区、鹿児島、宮崎、熊本、長崎ならびに北陸地方へ枝船を出す事により、充分メリットが生まれる。九州の各地区へは現在、阪神地区より殆ど陸上トラック輸送に頼っており、現在の交通混雑ではパンク状態であり、今後ますます悪化することが予想される。

 そこで、それを補完し得るものは、中継基地しての中城湾港であり、また、中国が将来経済発展し、十二億の人民の生活が向上すると大きな消費市場が生まれてくる事は確実であり、将来、枝船がどうしても必要になってくる。

 大型国際コンテナ船を遠回りさせて呼び寄せるのではなく、沖縄の沖合を毎日のように通過する折り、二、三時間程度、寄港させるのであり、沖縄貨物をわざわざ小型船に積み替える手間を省き、船会社側にも充分メリットがある。県民にとっては海上運賃が従来の半分以下になり、取扱貨物は大幅増加、物価も下がるのは確実である。

フリーポートを実現せよ

 また、私がフリーポート構想を打ち出している点について説明したい。

  県の第三次振計に盛り込まれている貿易振興は、その具体的施策の中で「今後は中継貿易基地が不可欠である」としているが、具体的にどのように実現していくかについては、議論の域を出ていない。

 この際、具体的検討に入るべきだ。私の提案は、中城湾港に現在確保されているフリーゾーン予定地十一ヘクタールと併せてフリーポート構想を実現させたいと念願するものである。

 国、特に大蔵高官等は、我が国は一国二制度をとらないのが大原則であり、それを曲げる事はできないと主張しているが、時代錯誤も甚だしい。

 特に、経済ボーダレス時代が到来して、世界中の国々が、その対応に躍起となる現代で、従来のように我が国が過去、輸出大国をめざした一国一制度は、もう時代にマッチできない事を認識すべきだ。世界の国々が、貿易の拡大発展させる上で不可欠である一国二制度を採用し発展している現実を再認識すべきである。

 私の構想は、香港やシンガポールのように地域住民を含めた自由市を想定しているわけではない。中城湾港にドイツの自由地帯のように湾内に区画を設け、周囲と遮断して関税法規の適用外におき、通過貨物のみならず中継貿易のための簡単な処理作業を認める区域にする。または、バンコック、カルカッタの自由中継地域のように港湾のコンテナーバースを区画し、通過貿易の貨物の積み降ろし保管、一次蔵置を認める。

 以上のような諸制度を導入することにより、外国貨物の搬出入を容易ならしめる事が肝要である。

 以上述べた事は、中城湾港を中心とした従来の私の構想であり、平成七年二月二十三日付けで開発庁長官、総合事務局長、県知事に要請書を出してあるが、現在まで何のアクションもない。

浦添地先は理想的な中継基地

 最近、那覇軍港の代替地として、浦添地先が取り沙汰されているが、国家プロジェクト事業としては、最も実現性が高いと思う。イデオロギーを抜きにして、沖縄の将来のため、子々孫々への遺産を残すため、下記条件で受けて良いと思う。

 中城湾港を国家プロジェクトに格上げする場合は、少なくても十年以上かかるだろう。逆に、浦添地先なら、国が那覇軍港の代わりに軍民両用の港湾を作りたいと強く要望しているのであり、子々孫々までの資産づくりに賛成すべきである。

 軍港として永久的に続くものでなく、いづれ基地撤去の折りは、民需に切り替えられる。また、現在いわれている基地強化でなく、現在の那覇軍港が維持している年間十隻たらずの入港を移転するだけのことである。

 私は、軍港だけの移転には反対であり、軍港の中に、コマーシャルのコンテナバース四本((三五○m×三○○m)×四本)を建設していただき、フリーポートとして、国際航路の船を自由に出入できるハブ港湾としての機能をもたせ、港湾の周辺に大倉庫群を建設し、ならびに外国製品の展示場、または、ベンチャービジネス団地等を作り、国際都市港湾として活躍できる事を条件として、賛成である。

 国が、浦添地先に移転を希望している理由について納得のいく点がある。この話の出初めに、私は軍関係者に「ホワイトビーチに隣接して作った方が良いではないか」と聞いてみたところ、彼等の言い分も一理あることが分かった。

 軍隊の原則的機能として、常時使用する港湾と緊急時に使用する港湾を兼ね備えるのが常識となっている。現在の牧港補給基地は、有事の際に使用するのが目的であり、平時は殆ど使用していない。ベトナム戦の折、牧港の補給基地は、戦車、自動車、ジープ等を修理整備して活躍した事は、記憶に新しい事であると思う。

 仮に、ホワイトビーチに軍港を作ったとしても、有事の際、県民の生活道路を使っての兵器、兵員、弾薬等の輸送は、きわめて困難である。

 もう一つの理由は、天久を開放した際、天久にあった米軍住宅を牧港の補給基地に移転させ、十階建て、十二棟が建設運用されており、急に撤去は難しいとの事である。以上のもろもろの事情から、私は、現在の世論のようにオール・オア・ナッシングでは、中央政府は、これぞとばかりにリップサービスに終わる事を憂うものである。この際、協力し合いながら、基地縮小を着実に進め、沖縄県の将来の発展のため寄与してゆくべきであると提言したい。

 平成九年九月十日、(社)沖縄県貿易協会川田潤会長と共に浦添市役所を訪ね、照屋助役と東恩納西海岸開発局長と約二時間半にわたり面談、要請した。

 要請内容は、浦添地先の軍港移転問題について、軍民共用であれば移転に賛成すべきであり、この際、革新のイデオロギーを抜きにして、子々孫々のため英断を仰ぎたい、というものだ。

 特に、復帰特別記念事業として、安謝新港を新設した際、後背地の埋め立て地は、那覇市が譲り受けて、坪当たり三十ドル〜五十ドルで民間に売り渡して、儲けている。今回の軍港建設にも、西海岸の膨大な埋め立て地は、ただ同然、浦添市が譲り受けられる事、那覇大橋の実現も国の事業としたため、立派なものができ上がっている点を説明。また、いつまでも浦添市が、那覇市の影になっているのは、港がないからであると指摘し、全国の大きな都市の発展は、港と深い関係があり、この 際、浦添市発展のためにも是非港をもつべきである提言してある。

改正沖振法への疑問

《特別自由貿易地域制度の創設》

《自由貿易地域制度の拡充》

《工業等開発地区の活用促進》

《情報通信産業振興産業の創設》

《創造的中小企業支援税制の創設》

《観光振興税制の創設》

《沖縄型特定免税店制度の創設》

 以上の点について税制上は、すばらしい配慮であると認識しているが、問題は、基本的に入居業者の利益が上がった折りに非常に効果が大きく、作用するものであることだ。

 また特別自由貿易地域制度の創設をみても従来の沖縄フリートレードゾーンが今日までに目的を達成できなかった反省点が全然みられない。現在のフリートレードゾーンの不振は、税制面での原因ではない。

 貿易拡大が、最大の目的であると認識しているが、貿易を拡大するには、何といっても基本的な港湾インフラ整備が必要なのにそのポリシーが欠落している。

 何の為の製造業の入居か疑問である。製造業が順調に生産ができたと仮定しても、どのような方法で販路を見い出すのか甚だ疑問である。

 十年の時限立法である法の趣旨から、その期間内に港のインフラを整備するには、七、八年は要し、折角の制度の活用ができない事になる。

 もう一つの大きな疑問点は、中城港湾の第三次埋立て地を念頭においているようだが、まだ完全に埋立が完了しておらず、入居業者を募集して入居するには、少なくとも三年程度は、かかると思う。

 三年後入居して、開業となると特別な業種を除き、少しでも利益があげられるようになるには、五年ぐらいはかかる。

 現在の特別法が時限立法(十年)である事から延長できるという保証がなければ入居した企業は何ら恩恵を受けられない事になるので、まず入居を希望する企業は、先行き不安である。去る四月一日より、施行された特別法のメリットを受ける企業は、現在国内で輸出産業をしている企業かつ黒字が上がっている企業であるので、そのような企業の誘致に努め、雇用拡大が計られるものと思う。

 沖縄型特定免税制度の創設について、まだ、具体的に決まっていないようだが、運用面で非常に困難であると考える。

 品目の設定については現行の観光戻税制度対象八品目以外の輸入品を定められているが、問題は、現行の八品目以外の輸入品については、従価税が適用されており、ウィスキー等のような従量税の場合は、輸入関税が確実に把握できるが、従価税については、輸入の段階での為替相場の変動または、価格が一定しないものを、どのように輸入関税を把握できるのか疑問である。飛行機に乗る僅かな時間内でどのような方法で確認できるのか、甚だ問題である。

 輸入牛肉を例にとると、現行の輸入関税は四二・三%だが、輸入毎に価格、為替相場も違うので、特定小売店がどのような方法で消費者に価格と輸入関税を明示できるのか、甚だ疑問である。

全県フリーゾーンは特別立法で

 世論が沸謄している全県フリーゾーンについて、私の意見を述べたい。政府の規制緩和等検討委員会のいわゆる「田中レポート」がフリートレードゾーンの実現にあたっては、県民自らが復帰プログラムに幕を引き、自己決定、自己責任の原則に基づき新しい沖縄の創造に向けて取り組む事を付言して、すべての関税撤廃、投資減税措置を発表した事により、一躍、全県フリーゾーンの議論が始まった。

 しかし、田中委員長は、全県フリートレードゾーンの具体的な構想を明らかにせず、どのようなフリートレードゾーンを描いて発言したのか、その真意が伝わっていない。県及び関係団体は、それぞれの思惑で議論をかわしている。この事は大変疑問である。田中委員長の発言を政府がどのようにとらえているのか、政府は押し黙ったまま、いまだにこれに関しての正式なコメントがない。

 全県フリートレードゾーンを実施する場合は、それ相応の法令改正、または、膨大な財源が必要になってくる事は明白である。にもかかわらず、方向性すら示していないため、政府がこの問題に真剣に取り組む気があるのか疑問である。

 また、県民に大きなインパクトをあたえたのは平野レポートである。県は、平野氏を講師に招いて講演したため、新聞も取り上げる事となり、県民に大いなる誤解を生じせしめ、無関心であった県民層に物価が二割から三割も下がると早合点して全県フリーゾーンに賛成したいきさつがある。平野レポートを検討した結果、以下の点で相当に無理があり、県国際都市形成推進室宮城室長宛に意見書を提出してある。

 平野氏は関税及び国内税は、ゼロになると云っているが、その根幹をなす法整備について疑義がある。理想論としてはよいが、実現は甚だ困難である。

 平野氏レポートで指摘されている関税定率表第一四条(無条件免除)に無条件免除項目が認められているので「沖縄に輸入される貨物」も追加項目できるとあるが、参考までに、現行の無条件免除項目を抜粋すると、

《天皇及び、内廷にある皇族の用に供される物品》

《本邦に外遊する外国の元首もしくは、その家族または、これらの随員に属する物品》

《国際機関または、大蔵大臣が指定する団体、若しくは、基金より授与される勲章、賞杯その他の表彰状及び記章》

 その他四項より一八項目まで定められた特別の物品であり、これらはいずれも国際的または国家的、国民的に認証された物品に限られている。

 「沖縄に輸入される貨物」をこの項に該当させることは、国民が納得しないと思う。

 よって輸徴法第一三条の規定で定められた消費税、国内税免除規定は、関税定率表第一四条の無条件免除品目を目的としており、「沖縄に輸入される貨物」も追加規定する事は、法の解釈上飛躍しすぎて適用は困難と思われる。

 もし、国が、沖縄のために強力に規定をおり込む決意があれば復帰時点のように「沖縄特別措置法」のような特別立法を講ずるべきであると思う。

 現在、那覇市にあるフリートレードゾーンについて事あるごとに政府高官は、我が国唯一のフリートレードゾーンと自負し、言明しつづけているが、それはわれわれからみれば名目だけのものであり、実態の伴わない保税地域にすぎない。それを本来の姿にするための法令改正、規制緩和について過去二〇年余りにわたり改善を要求しているにもかかわらず、その機能を充分に発揮する事ができず、現在に至っている。

 二・七ヘクタールの既存のフリートレードゾーンの改善すらできない政府が、どうしていきなり、沖縄県の将来を変革させる程の全県フリートレードゾーンを実現できるのか甚だ心もとない。

 政府は、全県フリートレードゾーンの全体構想を明確にし、その目的を公表し、それに基づいて全県民が対応すべきであると提言している。

 従来の行政手段としては、県の将来にかかわる諸問題は、中央政府で立案、企画して地方に検討させているのが常道であると認識しているが、今回の全県フリートレードゾーン構想は、政府は何ら手をくださず、沖縄県民で審議した案件を政府に提出させた。これは従来の手段とは逆行しており、仮に県案がすばらしいものであったとしても、中央の官僚にはね返されるのが目に見えている。

 何故ならば、中央官僚にはすぐれたエキスパートがおり、地方官僚の力では残念ながら太刀打ちできない事は、過去の実績からみて明らかだ。

 県が、今進めている全県フリートレードゾーン素案または、成案、ならびに最近の県議会の答弁を見る限り、県自体、全体像を把握してないように見える。

 田中レポートで「復帰プログラムに幕を引き」と付言している事は、現在ある沖縄特別措置法、または、高率補助をなくせと云う事と理解せざるを得ないが、県の案を見る限り現存する措置法、または、高率補助を継続させるとしており、甚だ矛盾している。

FTZ県案に実効性はあるのか

 また、輸入関税をゼロにすると明言しているにもかかわらず、一九品目はそのまま現存させると云う事は、当初の目的から逸脱している。

 現存する輸入関税は、特殊なものを除き殆ど農水産加工食品(主に缶詰類)である。アメリカの施政権下にあって食べ慣れた農水産加工食品は県民の日常必需品であり、琉球政府時代は関税が〇か五%であったものが、復帰と同時に三〇〜四〇%の高率課税を課せられるようになった。その減免に対して機会あるごとに引き下げを要請しているが、いまだに実現せず、現在二〇%以上の課税品目は三一品目も残っている。ウルグアイランドでこの農水産加工食品の関税引き下げが議題にのぼり、 改善を期待していたところである。昨年四月より、関税引き下げが実施されたが、なんと現行より、〇・〇三%税額の引き下げで、がっかりである。今回の関税ゼロをうたった全県フリートレードゾーンに相当な期待をしていたが、県案でみる限り、一九品目残存とは、県民の消費者に対しての裏切り行為である。

 もともと、農水産加工食品の高率課税は、本土の中小企業の生産者の保護を目的としており、県内企業の生産者は、たいしたメリット・デメリットはない。

 何故ならば、過去二五年間、原材料は殆ど関税ゼロであり、生産者はその特典を利用し活用しているのであり、製品輸入(缶詰類)がゼロになったからと云って生産者には影響するはずがない。

 県の議会答弁では全県フリートレードゾーンを導入した場合、工業出荷額が五八〇〇億円、雇用創出が二万五〇〇〇人とはじき出している。その根拠が非常にあいまいだ。何故ならば、フリートレードゾーンを導入すると関税がゼロになるので新規企業が立地し、安い原料を使って、生産が上げられると云っているが、現在でも我が国の原材料は殆ど関税ゼロであり、過去二五年間において原料課税が無税であるにもかかわらず、産業が育たなかった事の反省がない。

 前記の全県フリートレードゾーンを導入した場合、倒産する企業は続出すると思うが、その失業者は、雇用創出を上回る可能性がある事を指摘したい。

 また、県及び経済団体が出している二〇〇五年のFTZ導入は甚だ遅すぎる。なぜならFTZの根幹をなすハブ空港、ハブ港湾を構築するには八年ないし一〇年もかかるからである。

ハブ港湾・ハブ空港が先決

 そこで、私の提案である。政府が、確実に沖縄のため、フーリートレードゾーン構想を推進するのであればまず、ハブ空港、ハブ港湾を基軸にフリートレードゾーン地帯を構築し、その地帯は現行の諸規制を完全撤廃し、自由地帯として発展させ、その成否をみて全県フリートレードゾーンに拡げる事がベターであると思う。

 資源の乏しい離島県である沖縄が、今後発展するためには地理的条件を活用する事が肝要であり、現在の国際化、スピード化、情報化時代において沖縄を中心とした一〇〇〇マイルから一二〇〇マイルの経済圏は世界に例のない大きなマーケットである事を自覚すべきである。

 その背後の大きなマーケットの人々への供給基地として、港に隣接して大倉庫群を建設し、沖縄を中心として枝船を出す事で、わが国の現在の陸上輸送のパンク状態を補完し、輸送コストの軽減に計り知れない貢献ができるものと確信している。

 太平洋、東支那海の深い海を擁する沖縄の港は、アセアン地域のどこの港より優れており、香港、シンガポールの港は大陸の大きなマーケットを背後に控えて海の輸送には便利だが、陸上輸送は交通渋滞のため満杯で、物流拠点としていま以上の役割を期待する事は無理である。

 港湾インフラは完璧だが、やはり陸上輸送には大いに支障を来している現状であり、これは日本本土の主要港である東京、横浜、名古屋、神戸その他の諸港においても例外ではない。

 ここで沖縄の特徴を発揮する場が生まれてくる。海上輸送で大量の品々を沖縄に受け入れ、これを小口海上輸送で本土の各地の港を始め、遠浅の中国沿岸地区及びアジア週辺地区の港へ運べば、それぞれの消費地に直送できる。海上輸送は一回に五〇〇〇トン以上も運べるが、陸上輸送は一回にせいぜい平均二〇トン程度で比較にならない。

 東京、横浜、神戸などは倉庫のスペースの問題または倉庫料が高すぎる、港湾インフラ整備、港頭地区は満杯状態であり、それに国内陸送はすべての面ですでに限界に達している。

 例えば、北海道や名古屋の製品を九州、四国、中国各地に陸送する事よりも、北海道、名古屋より、一括海上輸送で大量に沖縄に受け入れて、これを小口海上輸送に仕分けして九州、四国、中国各地の消費地に搬入する方が、物流コストも安くなり、陸上交通混雑の緩和にも役立つ事になる。

米軍基地そのものが一国二制度である

 このように、本土全都道府県の大量生産地より、沖縄経由で日本本土の各地区消費地へ直接の小口海上輸送が有効になってくる。

 そこで、政府に要望したいのは、まずハブ空港、ハブ港湾を早急に設置し、その周辺をフリーゾーン(自由地帯)にして、現行の諸規制を完全撤廃する事。政府が二五年間も米軍に対して、与えて来た自由地帯を沖縄の県民にもあたえて頂きたいと念願するものである。

 特に、行政、司法権の届かぬ自由地帯を米軍に対しては現在も与えている事実がある事を強調しなければならない。

 また地域限定フリートレードゾーンにすると県民に対して差別が生ずると述べられる人々がいるが、私の構想する地域限定型フリーゾーンはいかなる人も差別するものでなく、国際人、本土の企業家、県民も均しく自由に参加できるものであり、県民に差別は生じないものと確信している。

 そして、この地域限定型が成功すれば、それをテストケースとして全県フリートレードゾーンに拡大すべきであると提言したい。

 われわれ県民の要求しているフリートレードゾーン(自由地帯)は、一国二制度となり認められないという政府側の考えについて、反論する。

 一国二制度は香港が中国に返還されるとき、つまり自由主義体制と社会主義体制の異なった政治体制が、いっしょになる事により生まれた言葉である。

 県民が要求している自由地帯とは、政治体制の変わらぬ自由主義体制の中での特別経済区を要望しており、中国における同一社会主義体制での大連、上海の浦東地区、華南の深、海南島は経済特別区と言われており、一国二制度とは云われていない点を指摘したい。

 また、一歩譲って、同一政治体制の中での特別経済区を一国二制度と云うならば、我が沖縄は、復帰より二十五年間も米軍に対しては、治外法権的、自由地帯を与えていること、税の体制においても沖縄特別措置法で定められた租税の減免措置を過去二十五年間実施しており、今更、新しい制度でない事を強調したい。

スポーツアイランド沖縄

 いまひとつは、基地が撤去された場合の跡地利用活用について昨年、八月十四日、県知事、県議会議長、総合事務局長宛に要請をしてある。

 その内容はプロスポーツ学校を早急に設置する事で、この事業には莫大な予算と施設が必要である。将来的には常時、各分野における有能な指導者と有為な若者五万人程度が沖縄に滞在(在学)しうる体制にもっていかなければならない。 沖縄はいまプロスポーツの調整訓練のメッカとなっているが、将来的にはもっと設備を充実して一層の誘致に努めるべきだ。

 沖縄をスポーツアイランドとして位置付け、世界的に通用するプロスポーツマンを養成する各種スポーツ専門学校を作り、全世界から優秀な若者を集め、これを育てて全世界に送り出すことにしたい。

 世界に通用するプロスポーツマンが人種を問わず、沖縄で育てられ全世界に羽ばたく事を思うだけでも素晴らしいプロジェクトではなかろうか。米軍基地が仮に全面撤退した場合でもプロスポーツマン養成学校(高校、大学)が実現するならば、むしろ跡地利用の面積は足りないくらいである。これこそ沖縄県が世界に誇れる平和産業である。


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