《緊急提言》
厚生労働行政は透明化すべきである


「観光とけいざい」第618号(02年8月15日)より

(社)沖縄県貿易協会専務理事・崎原永広



添加物の認可基準など不明な点が多すぎる

 昨今の厚生労働行政は、消費者ならび国民に対し深刻な動揺を与え不審感を拡大させている。

 先ず最近の事例を取り出すと、協和香料化学の事件で浮き彫りになっていることは、厚生労働行政の監視体制が機能せず、ずさんであること。つまり法で定めた無認可添加物を15年余りも使用していたことが内部告発で初めて公になり、製品の自主回収となったことであるが、新聞報道によると、「自主回収をさせているが人的に害はない」と行政側は消費者の動揺を抑えるつもりで公表している点に、私は疑問を感じる。人的に害のない添加物をなぜ使用禁止にしているのか、その根拠がない。この際その理由を公表すべきである。

 また、食塩についての事件である。スーパーマルヤ(埼玉県在)が、中国より輸入した9万袋(1キロ入り)に無認可添加物フェロシアン化物が使用され、自主回収した件は、埼玉県の発表では毒性が低いため人体には影響ないと公表している。その点についても、なぜ人体に影響がないのに自主回収させ、消費者に不安を与えたのか。

 もうひとつの疑問点は人体に被害のないものをなぜ厚生労働省は無認可添加物として輸入禁止しているのか。その根拠を明白に示すべきである。この食塩のフェロシアン化物は、諸外国、特に、アメリカ、EUでは広く使用を認められている。現在輸入されている輸入食品には殆ど使用されている事は自明である。

 厚生労働省は現存の無認可添加物のうち30品目だけを輸入解禁すると公表している。1日も早く解禁に向けて法改正すべきてある。

 現在のように食生活が向上すると、自然食では補いきれないため必然的に添加物の使用が認められている。添加物は殆どが医薬品同様毒性があり、その使用基準を明確にして使用認可を与えたものとの確信をもっている。

 ところが今回のように諸外国において安全性が確認され、流通している食品添加物について、我が国の厚生労働省が無認可の添加物を多数残存させている点についてその使用禁止の根拠を公表すべきてある。私は無認可添加物の認定基準に問題があると思う。現存の無認可添加物を改善する場合、通常、民間企業より実験資料を提出させて、解禁の手続きをしている点に問題がある。

 厚生労働省は元来国民の健康を守る使命があると、ことあるごとに公言しているが、民間企業の解禁申請をまたず厚生労働省自体で本格的に実験資料をまとめ安全確認し、公表、解禁すべきである。

費用がかかりすぎる認可制度は撤廃すべきである

 もう一つの問題点を指摘したい。先日の協和香料化学の事件について新聞報道によると、企業が実験資料を提出し、これを国会にあげ、法改正するにあたり1億円も動物実験及びその他の費用が必要であるとの事で、中小企業ではその莫大な実験費用を捻出できないため法の改正が進んでないとの事である。私は、復帰後関東地域在の菓子問屋の社長と面談したが、そのとき「沖縄は復帰に伴いもろもろの特恵措置を獲得しているが、どのくらいの責用がかかったのか」と聞かれびっくりした。私は「何も費用は出していない。それは、政府自体の仕事であり、金がかかるはずはない」と明言した。

 その時の社長の言い分である。「我々菓子業界の食紅の解禁に1項目について10億円の費用が要求された。まだ他にも申請したいが1件10億円かかるので関係諸団体がパンクするので現在はあきらるめている」とのことである。

 今回のように1億円もかかると言う事は、その制度がそのまま現存しているように思われる。しかしその制度は撤廃すべきである。多額の費用がかかり法改正が出来ないようであれば正しい政治体制とはいえない。

 沖縄は、アメリカ統治の27年間は自由経済の中であり、輸入業務については何のトラブルも発生せずスムーズに行われてきたが、復帰後日本の施政下に入り管理貿易に移行したため、いろいろと法規制に悩まされて、我々貿易関係者はその対応に苦慮しているところであり、国の押し進める国際化の実現を切に願うものである。

 特に厚生労働省の政策について苦言を申したい。厚生労働省の監視体制は不充分であり一層強化すべきである。

 例えば食品衛生上の戦後の大きな事件としては、チクロ、サッカリン、マグロ鉛含有問題、ワインの毒物混入問題があるが、殆ど諸外国の食品監視体制で発見されて我が国の厚生労働省はその事後の対応をしただけである。

 国内においては、森永ミルク事件、カネミ油脂事件、カラシレンコン事件等、人的に大きな被害が出ていることを認識すべきである。

指定検査機関にも民間を参入させるべき

 また、平成11年2月19日にO.T.O.(オンブズマン)数人が当県に来られて現在の輸入拡大において障壁になっているものはなにかとヒアリングがあった。当協会としては、最大の要因は輸入食品の検査料金が高すぎ、沖縄はマーケットが小さいため、輸入量が本土の大手商社と比べて大幅に少ないためコストがかかり過ぎ、支障を来たしているので、その改善を要望した。その後O.T.O.より連絡があり、厚生労働省にその検査料金の改正をするよう勧告したとの連絡を受け、厚生労働省の対応を期待していたが、厚生労働省の回答は、現在の検査料金の設定は民間業者と指定食品検査所との任意契約で厚生労働省は科金設定に関与していないとの事であった。

 再度、O.T.O.に対して「現在の指定食品検査所は厚生労働省の認可を受けて活動しており、料金設定については届け出料金であっても最後は厚生労働省が認可するものであると理解している。なぜならば、大阪、東京、横浜の諸指定食品検査所の料金は同一料金である事を報告し、再度、料金引き下げについて検討してはしい」と要望した。

 すると平成12年2月14日、第7回O.T.O.専門業会議で、現行の食品検査所の認定基準つまり(社団法人又は財団法人)を変更する事はないとのことであったが、その中である委員が、「国内の製造業は民間の検査機関が検査をしており、輸入品の検査も現行の指定法人のみである、ということを改めるべきである」と指摘。「民間の検査機関にも開放すべきである」と議長が決定した。

 その結果、厚生労働省もしぶしぶ民間参入を認めたのである。その後の法の改正を心待ちに期待しているが、今日に至るまで法改正手続がなされていない。一日も早く改善して頂く事を念願するものであります。


HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.