連載 マルチメディア&リゾート〜沖縄との相性〜(3)
島田勝也(NTT西日本沖縄支店)


「情報流通」で大交易時代の再現へ(下)

 今月は先月に引続きアイルランドの取組みと沖縄を比較しながら「情報流通」という言葉を沖縄にあてはめ、発展的に想像をめぐらしてみる。

 アイルランドと沖縄の具体的な施策を比較する。

@企業誘致に向けた税制優遇等

 アイルランドでは情報通信産業の企業には法人税一〇%の特別税制が適用されている。沖縄の場合は昨年三月の沖振法の改正により情報通信の拠点に指定することで税率の軽減が可能となった。十一月、知事は政府に対してその要請を行っている、どの程度になるか注視したい。アイルランドでは同産業に従事する労働者の外国人就労についても極めて寛大で、原則自由と言ってよい。

Aインフラの整備・充実

 アイルランドは最先端の通信インフラの整備はもとより、ヨーロッパ主要都市への交通アクセスの良さを売りにしている。言い方を変えると通信インフラの整備はあたりまえで、その他のインフラを含めたいわゆる「暮らしやすさ」などといった基準が勝負となる。沖縄の通信インフラについては既に高いレベルにある。また来年のサミットの開催で一層の充実が図られることと、加えて郵政省の「沖縄国際情報特区構想」の進展が大いに期待出来る。そして、評価の高い観光レゾート地としての地の利に優位性がある。

B人材供給体制の充実

 ここが本質的で最も重要な問題である。アイルランドでは極めて戦略的な人材育成が行われており、この分野における高等教育は全て国費で賄われている。併せて、外国人技術者の受入や語学教育の徹底等、産業界のニーズに直結した人材育成が行われている。沖縄の場合は、昨今の報道でご承知と思うが、沖縄に既に進出した(あるいは予定の)企業からの求人約三千名についても、その三分の一程度しか供給出来ないという人材難の状況である。せめて、現在の求人に応えられない様では先が思いやられる。ただ、これまでになく急ピッチで県当局も人材育成に取組んでいる事も事実である。

■一人びとりのマルチメディア化

 情報流通で「大交易時代の再現へ」などと壮大な事を書きながら、現状では進出してきた各コールセンター企業からの求人にも応えられないという現実にぶち当たってしまった。前述した課題の中で「税制…」や「インフラ…」はあえていうと国に頼んで大急ぎでしっかりやればアイルランドに負けないものが出来るのである。しかしながら「人材育成」については一朝一夕にはいかないし、我々自身が動いて自分達を変えていかなくてはならない。繰り返しになるが、ここが本質的で最も重要な問題である。

 「コンピュータ操作」「接客技術とマインド」「語学」この三本柱で充実させる必要がある。そして、県民の基本スキルとして浸透させる事が大切だと思っている。一昔前まで、本土では「沖縄人は皆英語が話せる」と勝手に思われていた。これからは「沖縄人は皆英語とパソコンを使いこなすらしい」との噂にでもなればしめたものだ。今、我々が始めなくてはならないのは子供達に「コンピュータ」と「英語」で世界の人々とコミュニィケーションの出来る能力を修得させることである。その 事を私は「一人ひとりのマルチメディア化」と呼んでいる。

■行ってみたい・住んでみたいところ

 情報通信産業にはクリエーター等の知的労働者が多く従事することになるが、彼らは自らが居住する地域の環境条件や快適性をとても重要視する。観光・リゾート地「沖縄」としてはこの部分で点数を稼ぎたいものである。自然環境や文化・芸能や人々のホスピタリティー、住宅・交通網の整備等、課題はあるものの、アイルランドに負けない環境を準備出来るはずである。進出してくる企業がそして働く人々が「行ってみい・住んでみたいところ」と言ってもらうことが肝要である。

 「沖縄は二十一世紀の東アジアにおいて情報の加工貿易によって大交易時代を再現」すべきである。

 沖縄にとって今のところ好条件で歯車はまわり始めている。(「観光とけいざい」99年12月合併号)


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