連載 マルチメディア&リゾート〜沖縄との相性〜(5)
島田勝也(NTT西日本沖縄支店勤務)


テレマーケティング先進地

 テレマーケティングという概念もここ十年で相当に確立され定着した気がする。もとはテレフォンマーケティングと呼ばれていたが「使われるメディアが電話とは限らない」という意味や「遠隔地(テレ)の顧客を対象にする」という意味からテレマーケティグと言い換えられるようになったと言われている。遠隔地というキーワードや集積しつつあるコールセンタ│ビジネス等、沖縄にとって「テレマーケテイング」という概念は益々重要になると予てから考えていた。そうしていたところ「 テレマーケティングフェア東京」なるイベントが開催される事を知り昨年末に出かけて来みた。今月はそこで収集した情報を基に「テレマーケティング」と沖縄との関係を考えてみる。

「テレマーケティング」の概念

 イメージとして通信販売を思い浮かべる方も多いと思うが、このイベントを主催した(社)日本テレマーケティング協会では、テレマーケティングを「顧客の創造、顧客満足度の向上、顧客の保持といったマーケティングプロセスを、パーソナルで双方向性を持つ各種通信メディアを通じて、円滑かつ効率的に実現する方法である」と定義している。ここで注目すべきは、テレマーケティングの目的を「顧客の創造、顧客満足度の向上、顧客の保持」と顧客との関わりの中でとらえている点、並びにそれらを「マーケティング・プロセス」として位置づけている点である。そして勿論、それは「各種通信メディア」の利用が前提となる。「各種通信メディア」と言うからには、電話だけでなくFAXやインターネットも含まれる。つまりテレマーケテイングは、「電話などの情報通信メディアを用いて、顧客情報に基づくパーソナルな対応を行うことによって、顧客の創造と維持に寄与し、結果的に企業と顧客の双方にメリットをもたらすマーケティング手法」なのである。

「テレマーケティング」の将来性

 日本のマーケティング市場は、一九八五年のフリーダイヤル(着信者側払い電話)のサービス開始を機に、にわかに勢いがついてきた。この時期にはクライアント企業よりテレマーケティングのオペレーションを受託するテレマーケティング・サービス・エージェンシーが相次いで登場。ちなみに、このフリーダイヤルは九〇年に二十一万回線であったものが九八年には六十四万回線まで契約数を伸ばしており、依然として順調な伸びを見せている。バブル崩壊後は、顧客維持や顧客満足度向上の手段としてテレマーケティングが脚光を浴び、その業務を担うコールセンターが企業の中核に位置づけられるようになってきた。九四年には業界最大手の(株)ベルシステム が業界では初の株式公開を果たした。九八年にNTTがナンバーディスプレイサービスの全国提供を開始。これがきっかけとなってCTI(Computer Telephony Integration)ブームに火がつき、今、テレマーケティング市場は一層の盛り上がりをみせている。現在、テレマーケティングの主役はまだ電話メディアだが、今後はインターネットの活用が急速に進むであろう。電話とインターネットを融合したインターネットコールセンターの可能性は益々大きく広がっている。この分野は飛躍的にそして確実に伸びるはずである。

沖縄からみた「テレマーケティング」

 ここからは「沖縄から」という視点でテレマーケティングをみていく。冒頭で述べた通り「遠隔地の顧客へ」と「コールセンター」というキーワードが重要となってくる。

一、地場産業からの視点(遠隔地の顧客へ)

 具体例を挙げよう。名護市の(有)水耕八重岳さんは、近隣の農家からゴーヤーを仕入れてゴーヤー茶や乾燥ゴーヤー等の加工商品として出荷している。数年まえから同社はテレマーケティングを積極的に活用している。全国の顧客からフリーダイヤルで注文を受け付けている。昨今の「沖縄ブーム」や「健康ブーム」も追い風になり年間約五千万円を売り上げている。

 石垣市の高嶺酒造さんは、古酒をインターネット上で販売して大きな成果を上げており、全国から予約が入ってきている。

 (株)沖縄県物産公社さんもフリーダイヤルで全国から注文を受ける体制を持っているが年間六千万円程の売り上げ額ということなので、会社の規模やポテンシャルからするとまだ伸ばせる。

 当然過ぎることではあるが、遠隔地において多品種・少量生産を特徴とする沖縄県産品を県外の市場に売って行く上ではたいへん有効な手段なのである。今年は、サミット開催等が功を奏し沖縄への注目度が上がり観光入域客も益々伸びる事が予想されている。地場産業としては、そのようなイベントを契機として「テレマーケティング」を用いた販売促進を図る事が大いに期待出来る。是非とも観光関連をはじめ各業種の方々にご検討頂きたい。

ニ、コールセンタービジネスを支える

 昨今、連日のようにマスコミが取り上げている通り、現在、沖縄は全国的にも「コールセンターの集積地」として注目を集めている。この「コールセンター」は、各クライアント企業が「テレマーケティング」の考え方に則って営業活動を行う重要なツールなのである。沖縄に進出したコールセンターの業種も通信や金融、コンピュータソフト等の多様な商品を扱っている。いずれにしても、テレマーケティング手法を駆使するプロ集団である「コールセンター」の集積地に沖縄がなりつつある訳である。そのコールセンターが数多く立地する沖縄には、必然的にこの分野の「人材」「設備」「資金」「知識」が集まるはずであり、早急に高度化・多様化させ他地域に対する優位性を確立したいものだ。

先進地を目指す

 以上「テレマーケティング」について端折って述べてきたが、要するに「沖縄の産業発展にとってたいへん重要な分野である」ということである。県の推進する「マルチメディアアイランド構想」にとっても必要且つ重要なノウハウであり他の地域に負けない高いレベルの知識集積が必要と考える。県内大学等の高等教育機関における研究強化や専門家養成の促進。高等学校等における同カリキュラムの導入。行政や民間企業における同ノウハウの活用強化等。また、観光産業にとっても同ノウハウの活用は今後たいへん重要なものになってくると考える。

 今年からいよいよ本格的インターネット社会が出現する。沖縄全体として「テレマーケティング」というノウハウの集積と活用は急務である。そして、近い将来には「この分野については沖縄にノウハウが有る」と言われることを目指したいものだ。(「観光とけいざい」2000年1月15日号)


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