連載 マルチメディア&リゾート〜沖縄との相性〜(8)
島田勝也(NTT西日本沖縄支店勤務)


全国向け沖縄チャンネルの開設

 テレビが世の中に登場して約半世紀、日本で普及して三十五年といったところだろうか。 今回は、我々の周囲のテレビ放送にはどの様なものがあるのか整理してみる、そして観光沖縄に役に立てることを考えてみる。

テレビ放送の種類

 地上波……地上に立つアンテナから送信される放送で、日頃、私たちが受信しているもっとも馴染み深いテレビと言える。沖縄では、NHK総合・NHK教育、OTV、QAB、RBCがあり、東京にあるキー局のもとで放送を行っている。視聴は無料でありコストは広告収入で賄っている(NHKは視聴料を徴収)。

 ケーブルテレビ……電波ではなくケーブルによって送信される放送である。もともと高層ビルの乱立するアメリカの都市地区での地上波難視聴地域からスタートした。沖縄でも沖縄ケーブルネットワーク、宮古テレビ、石垣ケーブルテレビが営業を展開している。最近ではテレビ媒体の他、高速大容量インターネットメディアとしても注目を浴びている。視聴者は月額三千円程度の基本料金を支払うことになる。

 衛星放送(BSとCS)……地域毎に電波の送信拠点を作らなければならない地上波に比べ、一つの衛星からの電波で日本全国をカバー出来る有利さ、しかもケーブルテレビに比べてコストがかなり安い。衛星放送には放送衛星を使うBS放送と通信衛星を使うCS放送があるが、日本では先ず八四年にBS放送が始まった。NHKの二つのチャンネルとWOWOWなどで、加入世帯数は既に千三百万世帯と言われている。

 CS放送の方は現在も業界再編の真只中であるが、九六年に伊藤忠、三井物産、TBSが出資したパーフェクトTV、九七年に松下電器等が出資したディレクTVがスタートしている。

 そして、三番手として九八年の春に、あのメディア王ルパード・マードックと孫正義のソフトバンクが組んでJスカイBを立ち上げようとした。そこへソニーやフジテレビが資本参加してきたことで事態は急変、パーフェクトTVとJスカイBの合併が決まり、スカイパーフェクトTVとして再スタートした。

 その後ディレクTVとスカイパーフェクトTVの二社体制で当面は行くかにみえていたのだが、さすがにメディア業界は合従連衡が想像以上に激しく、今年初め、とうとうスカパーがディレクを吸収合併することが決まった。CS放送業界は今年中にはスカイパーフェクトTVの一社体制となる。加入世帯数は約二百三十万世帯と言われている。

テレビ業界の仕組み

 これまでは惰性で地上波テレビを漫然と観ているというのが現状ではないだろうか。たしかに、地上波の民間放送は無料で、ケーブルTVや衛星放送は機器の購入レンタルや工事を行う必要がある上に有料である。

 その仕組みを解りやすくするために物流にたとえてみる。映像コンテンツが「商品」でCSテレビ局等は「問屋」に当たり、プラットホームと呼ばれる。プラットホームは料金回収機能であり商品は作らない。「メーカー」の役割はCNNやスターチャネル等の番組供給会社である。そして「消費者」である視聴者はペイ・パー・ビュー(番組単位で見た分だけの料金を支払う)なり、有料チャンネル(月額で料金を支払う)を選択して楽しむことになる。

この「問屋」制度の出現によって地上波放送に比べると格段に安い価格で映像コンテンツを全国配信することが可能となった訳である。

沖縄チャンネル

 さて、ここまでテレビ業界のことを色々と説明してきたのも全国向けにCS衛星放送「沖縄チャンネル」を立ち上げたいと考えたからである。二十四時間沖縄のニュースや情報や各種エンターテイメントを流し続ける。この試みは過去にも行われようとした経緯はあるがいずれも失敗している。

 だが、観光産業の進展、物産の振興、沖縄発情報ボリューム、映像コンテンツの蓄積度、全国からの沖縄への関心度、CS衛星放送の低コスト化、CS業界の統合等によるメディアポテンシャルの向上等々色々な条件を勘案してもいよいよ具体化出来る、あるいはすべき時期にきていると思う。実際に「京都チャンネル(五百円/月」は存在している。

 沖縄という総体からの情報発信であるべきなので、ひとまずは観光行政あたりが音頭を取る必要があると思うが、直ぐにでも採算ベースに乗るはずであり、必要なのは総合調整力である。

 沖縄からの映像情報を発信する仕組みを今作ることはたいへん重要な意味を持つ。当面はCS放送に載せる訳だが、十年以内にはインターネット上で同様な映像コンテンツを世界中に配信することがいとも簡単に行える様になるからである。(「観光とけいざい」2000年4月15日号)


 |  連載9 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.