連載 マルチメディア&リゾート〜沖縄との相性〜(11)
島田勝也(NTT西日本沖縄支店勤務)


「沖縄IT憲章」を読む

 沖縄サミットも何事もなく無事に閉幕し「やれやれ」といった心境の方も多いことと思う。首脳達を各地域毎に熱烈に歓迎した風景、嘉手納基地を囲んだ人間の鎖、硬軟組み合せた沖縄としてのサミット対応は実に絶妙で、私としてはほぼ満点を付けたい。

だが、日本国としてのサミット対応があの内容で良かったのか? ということについては各メディアの論調の通り議長国としてのいわゆる構想力の欠如は隠せない。

 本連載として注目すべきは「沖縄IT憲章」の採択である。今回はその意味を沖縄からの視点で読んでみたい。

■憲章の概要は

 憲章は、ITを「二十一世紀を形作る最強の力の一つ」と高く評価。IT推進には民間部門の役割が重要であることを明記し、各国政府には不当な規制や介入をしないよう求めた。電子商取引の普及へ、通信や物流、税関手続き、小包配達の分野で規制緩和の必要性を指摘した。一方で、途上国との間で生じる情報格差(デジタル・デバイド)の解消に、作業部会を設置するなど、G8が協力して取り組むことでも一致した。

 憲章は、ITの利点について、生産性向上を通じて経済成長に貢献するだけではなく、情報の共有化が進むことによって、民主主義の強化や国際的な平和・安定を後押しする点も指摘した。

 IT推進の具体策としては、@情報技術、電気通信関連の製品、サービス市場の競争促進A通信や物流を円滑にするための運輸、税関手続き、小包配達の規制緩和Bビジネスモデル特許の国際基準作りなどの知的所有権保護C消費者保護のための電子認証の安全性確保、などが盛り込まれた。世界貿易機関(WTO)で議論されているソフトウエアやデジタル映像の送信にかかる関税は当面、非課税とすることで一致した。企業の新規参入を促すことでコストを下げ、電子商取引などインターネットを利用した事業の活性化を促 す狙いだ。

 また、先進国と途上国との情報格差を解消するには、途上国自身が規制緩和などに主体的に取り組むことの必要性を指摘。教育も含めた基礎的な社会基盤の整備が不足していることにも触れ、G8を中心に支援を強化することで一致した。近く専門の作業部会を設け、来年の次回サミットまでに、取り組むべき優先課題について、議論を重ねることが盛り込まれた。

 日本は、途上国に対するIT支援として、五年間で百五十億ドル規模の資金を拠出することを表明し、各国にも協力を求めた。先進国内でも、地域や年齢によって情報格差が懸念されることから、過疎地でのインフラ整備や高齢者でも利用できるような端末の開発にも取り組むとしている。

■要するに何を言っているか

 以上が「沖縄IT憲章」の概要である。要するに何を言っているのかと言うと@二十一世紀の世界経済成長のエンジンであることを確認した事。AITは民間が中心となるべきものであり政府はあまり干渉しない事。B情報格差を起きてはよろしくない、それで日本は途上国のために百五十億ドル出す。 というこの三点だろうか。

考えてみると全てアメリカの都合の良い筋書きになっている様な気がする。一層の規制緩和を進め、弱い所の手当ては日本の金でやることになった。この分野で数年先を行っているアメリカの望むところである。平和の礎での演説においてクリントン大統領は世界中のIT企業に向けて「沖縄は素晴らしい所なので是非進出して来て欲しい、そして沖縄の発展に力を貸して欲しい!」と呼びかけた。沖縄人にとっては嬉しい言葉であった。森総理としては一番かっこの良い、得点チャンスまでもアメリカに持っていかれてしまった。 どうせなら日本の総理から「この沖縄はITの先進モデル地区にする」等と世界に向けてアピールして頂きたかった。

 ともあれ、沖縄県の「マルチメディアアイランド構想」、国の「沖縄国際情報特区構想」が進められている沖縄の地において、世界の首脳達によるサミットの場で「沖縄 IT憲章」が採択された訳である。 七年前から情報通信で沖縄の経済自立を思い描いて色々と活動していた私にとっては正直言って夢の様でもある。 この強力な追い風を沖縄が本当に生かせるか、これからが正念場である。(「観光とけいざい」2000年8月1日号)


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