連載 マルチメディア&リゾート〜沖縄との相性〜(18)
島田勝也(NTT西日本沖縄支店勤務)


那覇ハブ空港実現のステップ

 那覇空港の沖合展開は、故・国場幸太郎氏の持論であった。県は九六年から五回も調査報告を行っている。その中で「沖合展開による二本目の滑走路」の必要性を訴えている。橋本元総理が大田前知事に付けた五十億円の調査費の頃であるが、まあ、その頃は調査そのものが目的化していたようにも思えた。 

 九八年十二月に知事が代わり翌九九年の四月、野中広務元沖縄開発庁長官は「平行滑走路の増設などこれからは必要で、検討する時期にきた。実現に向けて努力する」と発言した。新たな調査費を計上することがきっかけだったが、影の総理からの発言に今度こそ実現に繋がるもの、と沖縄側は期待した。

 県の九八年の調査報告書「那覇空港将来整備構想基本調査」によると、那覇空港の滑走路の離着陸回数は十三万回が限界で、九七年現在の離着陸回数は十万九千八百回。今後の観光客数の伸び等で、二〇〇五年には十二万七千回となる見通しだ。年間六千回の自衛隊の離着陸訓練を加えると二〇〇五年には処理能力の限界を超えるという。

 観光入域客一千万人時代に対応し、特別自由貿易地域を生かすなどの沖縄経済振興図る上からも、ゲートとなる那覇空港の拡充は欠かせない条件である。

 ハブ港湾については、先の浦添市長選の結果を受けて、那覇軍港の移設を「テコ」に具体的に動き出しそうな状況である。あとは、政府が沖縄と約束(浦添市長選で)していたことを守ってもらうだけである。

 そして、今度は「那覇ハブ空港」の実現であるが、空港について次のようなシナリオで動いていくことを想像している。

1、 需要追随型から需要創出型へ

 利用回数がこのままでいくといつまでにパンクするから、という論理も必要だが、観光客一千万人構想や自由貿易地域構想等構想を実現するために、これだけの空港の処理能力がいつまでに必要である! という論理を立てるべきである。沖縄側がしっかりとしたコンセプトで平行滑走路の必要性を認識すべきだ。

2、自衛隊との共同使用が「テコ」

 現在、那覇空港は民間機と自衛隊との共同使用である。民間ベースで那覇空港の需要が高まっていると同時に、軍事面においても那覇空港の比重は高まっていく。

 日米間で集団的自衛権の問題が議論されていく中で、自衛隊による日本防衛の戦略上も那覇空港の重要性は増していく(長期的には嘉手納へいくが)。

 その様な状況を踏まえ、もう一本の滑走路の必要性をキッチリと政府に要求する必要がある。ということは現状の自衛隊との共同使用の危険性は徹底的に指摘し、必要があれば自衛隊の使用への強行な反対運動も準備する必要があるという訳だ。

 実は、もう一つ「米国側からの外圧として那覇空港整備と国際開放」を求めさせる方法もあると思うのだが、このシナリオは次回に紹介することにする。

 何れにしても「那覇ハブ空港」の実現には、建設までの「スピード」と「低コスト使用料」の実現が欠かせない。今、最も肝心なのは「那覇ハブ空港」と「那覇ハブ港湾」が沖縄の未来に是非必要であるという県民的な共通認識と、それらを手に入れる手段として自衛隊や那覇軍港の存在を利用する覚悟なのだと思う。 (「観光とけいざい」2001年3月15日号)


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