連載 マルチメディア&リゾート〜沖縄との相性〜(20)
島田勝也(NTT西日本沖縄支店勤務)


バーチャルシティー「サイバー沖縄」計画

 昨年度末でADSLやCATVを使った高速のイーターネット接続サービスへの加入者が四百万人を超えた韓国。今や高速インターネットの普及率で世界トップレベルである。その韓国で注目を集めつつあるのが、ネット上に仮想空間サイバーシティーを立ち上げて展開されるビジネスである。三次元CG(コンピュータ・グラフィックス)の現実に近い「社会」を建設中で、既に三万五千人の市民がいるという。ゲームや参加型の映像などを駆使したサイバーコミュニティは日本にもある。しかし、これらのエンターテイ メントに加えてよりリアルな社会のサービスを積極的に導入しているのが韓国式と言える。博物館、美術館、商店街、そして一般企業の建物まで、高精彩三次元CGのサイバー空間の中に再現しようとしている。つまり、実際の都市のそっくりそのままがネット上に再現されようとしているのである。

 沖縄観光の支援プログラムとして「サイバー沖縄」を建設することを想像してみよう。

 来月、沖縄旅行を考えているAさんは夕食後のひと時パソコンに向かってバーチャルシティー「サイバー沖縄」に入ってみた。入り口は現実と同様に那覇空港に降りたった時と同じ光景で、その画面の中に自分が入っていく。バスに乗るのもタクシーに乗るのも、レンタカーを借りるのも可能、ルートや時刻表や料金等を知ることが出来る。そして、国際通りに出てみる。散歩しながら土産品店に入った。店内の商品を色々見ながら幾つか聞きたいことがでてきた。そこで、店員コールのベルを鳴らしてみると実際に店員さ んの顔が肉声とともに画面に現れて直接の問答が出来た。実際の店ではレジ横に置いたあるモニターにバーチャルシティーでの来店客からの呼出しがあり、その表示に呼応して店員がモニター上の小型カメラに向かって応対をはじめたのだ。

 一通り聞きたいことを解決した後「来月行きますのでよろしく!」と言って終わった。次に隣のレストランに入った。メニューを見ながら、予約を入れることが出来た。一ヶ月前までの予約は一〇%割引の特典付であった。次に宿泊したいと思っているホテルを幾つか見て回った。室内や装備品、パブリックスペース部分も動画でチェックすることが出来た。細かい部分は直接担当者と話すことも出来、納得してホテルの予約を済ませた。これまたネット予約特典で室料は二〇%割引とのことである。こうして本当に訪れる 時のための予約や下見で街を歩きながらも、自分が選んだ沖縄の音楽を聞きながらなので実に楽しい。

 次に県立の博物館を訪れた。沖縄のデジタルアーカイブは世界的にも評価が高く二時間も色々館内を見て回った。来月は実際にその場所に行って香りを嗅ぎ、その空気を吸いたいという気持ちを強くした…。

 今年以降、日本もブロードバンドのアクセス回線が一気に普及する。バーチャルシィーに対応可能なインターネット人口は急激に増えるということだ。それに呼応してバーチャルシティー的な仕組みはおそらく今から三年後にはかなり一般化していると考える。沖縄観光に役立つとの観点から官民挙げての最強の「サイバー沖縄」計画の策定を期待したい。現在のようなリンク集的なポータルサイトではダメである。しかしいま述べたサイバー沖縄計画には、私も何らかの形で関っていきたいと考えている。

 さて、この「マルチメディア&リゾート」の連載も今回で二十回目となった。区切りのいい今回で最終回ということにした。「観光産業」は沖縄の天職と考えている者の一人として、今後とも私なりの努力をしていくつもりである。最後に、本連載に関連してお世話になった皆様に心から感謝申し上げたい。 (「観光とけいざい」2001年6月1日号。NTTドコモ沖縄、沖縄観光速報社共催の「観光業界のためのITセミナー」で約束した紙上セミナーで、島田勝也氏による「IT利用の基礎知識」を新連載します。ご愛読下さい)


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