連載 観光業界のための紙上ITセミナー・IT利用の基礎知識(09)
島田勝也(NTT西日本沖縄支店勤務)


NTTの経営改革について

 自らが所属する組織のことはやはり書きにくいものである。しかしながら、あえて今回はNTTの沖縄での経営改革のことをご紹介しなくてはならないと考え、私見を書いてみる。

 3年前まではNTTに勤めているほとんどの者が、自らが望めばだいたいは定年まで勤めることは許されるものと信じて疑わなかった。それが、この数年の技術革新と米国圧力による規制緩和、それに伴う業界の構造変化によって一気に崩れ去った(一部にはまだ信じている者もいるかもしれないが)。

 昨年の春あたりからマスコミで報じられていた“NTT東西で10万人の削減”、具体的に沖縄では? というと、大雑把に言えばNTT西日本沖縄支店を現在の1000人体制から200人規模にして、削減される800人の部分の業務は新たに設立する現地子会社に移すというものである。

 とまあ、ここまでは民営化以降これまでも進めてきた経営効率化の手法なのだが、今回はここからが違う。社員は@現給与確保を条件に全国どこにでも配置転換等に応ずるか、A県内勤務を条件に一端は退職して子会社に7/10の給与で再雇用されるか、の選択を迫られている。経済構造の大転換期の中で、いよいよNTT社員の身分も聖域ではなくなったということのようである。

 ここで、地元“沖縄”の権益という視点でこの問題を捉える必要がある。最も重要な電話料金といった基本サービスに関しては当面は全国一律が保たれるのでよいのだが、ポイントは地元に対してそれ以外の付加価値をもたらす繋がりの部分である。という事は、今年5月に発足する地元新会社の中味や体制の如何が重要になってくる。地元沖縄に真の意味で貢献し地元と共に歩み生きていく、そ の中で財務基盤を確立する体質の企業体が生まれるか? ということである。今、NTT内部でもその産みの苦しみは続いている。その試金石は、新生NTT地元会社が生まれるに際し、それが名実(新しい社名と新しい経営者)ともに沖縄発展に貢献し沖縄と共に歩んでいく会社の誕生になっているのか? ということだ。

 私は社内でそれを期待しているし、皆さんにも社外から期待をしてみていて頂きたいと思う。この改革は「自らで自らを改革出来るか?」という闘いでもある。この地元会社にとっては、船出後も一層大胆で継続的な経営改革が迫られていくことになるはずだからである。

 考えてみると今回のNTTの改革は、役所などの公的な巨大組織が今後そのような抜本改革が求められる場合に、大いに参考になるはずである。 (「観光とけいざい」2002年1月15日号)


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