連載 観光業界のための紙上ITセミナー・IT利用の基礎知識(15)
島田勝也((財)沖縄県産業振興公社 )


オープンソースアイランド構想(下)

 札幌で産官学連携による「オープンソース」ビジネスの展開を開始した北海道大学の嘉数侑昇(ゆきのり)教授の講演内容は次の通りであった。

 オープンソースの研究開発・技術者育成及び新規事業を創出する株式会社テクノフェイスをつくった。われわれは世界共通基盤で、誰もがいい思いをするオープンソースをつくろうとしている。北海道では、地元に職場が少なく卒業生の多くが本土に出ていく。これはなんとかしなければと思い、ビジネスを興そうとベンチャーを立ち上げた。ロシア、中国、米国、北欧などでビジネスの武者修行 をした。インドのITは08年に生産高870億ドル中、5億ドルを輸出するのが目標。日本でこうした目標を聞いたことがない。いかに外貨を稼ぐか戦略が必要だ。

 オープンソースは世界共通で、いいものをネットに載せれば世界で売れる。ITの世界ではこれまで大手メーカーが作ったものを使わざるを得なかった。しかしオープンソース化が進み自分のOSが作れるITデモクラシーの時代に入った。オープンソースでどんなビジネスがあるんだという声があるが、オープン化により多くのビジネスが生まれる。

 ロシアでは4月から軍のシステムをリナックスに変えた。軍の研究者たちは暗号化の研究でニュービジネスを生みだしている。

 なぜ北海道か。われわれは1年かけて「オープンソープ」を作った。それを使える人材が10人以上いて、人材育成機関もある。テクノフェイスがあり、道庁にはIT戦略会議、産学官連係機能がある。人材育成では、企業が寄付金、講師、機材を出し、大学が基礎のできた学生と場所などを提供、寄付講座を開設する。そこで人材を育成し、最終的には企業へのオークションで育った学生を採用し てもらう。そうすることで学生には学ぶ意欲が出て地元には人材が残る。現行のシステムをオープンソースに書き換える作業の無駄をなくし、両者を結ぶ役目を果たすのが「オープンソープ」だ。われわれはいろんなシステムをつなげる糊の役目をするソフトを作った。これがテクノフェイスの中心技術で、これで勝負したい。オープンソープサービスの市場規模は数100億ドルになるといわれてい る。

 「オープンソープ」を使うと、例えば手持ちのさまざまなICカードが統合でき、全国、世界共通で使えるようになる。ビッグビジネスである沖縄の観光システムに使うことも可能だ。北海道が頑張っているので、沖縄も一緒に頑張ろうではないか。南と北で一緒に産業を立ち上げる! これは面白い。

 沖縄でも、オープンソースというテーマに着目し今までにない枠組で全国的にみても革新的な産業支援活動を展開する。同技術の集積を元にした起業を強力にバックアップしていきたいと考えてる。そのことが「ITの産業化」と「産業のIT化」を促すことになる。私は、知的権利を過度に囲い込まないという「オフープンソース」の理念がなにより好きであり、今後の世界のトレンドになるもの と思っている。 (「観光とけいざい」2002年7月15日号)


連載16 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.