連載 観光業界のための紙上ITセミナー・IT利用の基礎知識(22)
島田勝也((財)沖縄県産業振興公社 )


いまチャンスは上海にある(1)

■IT分野の交流がスタート

 2月下旬、上海を訪れた。

 目的は、県内IT業界の上海進出または取引・交流を促すことにあった。当面の手段として、研修という公的支援で後押ししつつ県内IT関係者を研修生として上海のIT企業に預けることを試みている。

 昨年8月に続き2度目の訪問となったが、私にとっては早急に上海とのパイプを太くする必要性に、焦りにも似た感覚を抱いている。パイプとはもちろん、経済的な視点での人的・物的交流のパイプのことである。

 ITの分野では、いくつかの民間ビジネスが成立している。上海の日系IT企業のバックアップオフィスを沖縄で担うこと、そこに県は通信費補助の支援を行う。これまで、東京からの誘致をイメージしたITビジネスが上海にも広がったとも言える。

 また、県内IT企業が上海の企業とタイアップして東京のビジネスを受託するという仕組みも具体的に進みつつある。

 企業の製造拠点の中国移転に伴う、日本経済の空洞化議論をよく耳にする。しかし、それは製造業だけのものではない、IT分野においても急速に進行している。

 今回、訪問した上海市内のIT企業も、3年前まで東京で行っていたグループ企業内のソフト開発に関するビジネスを全て上海に移したというのだ。その上海の現地法人は、社員数200名にも上る大きな組織である。と言うことは、その分は東京が空洞化したことになる。この事例が示すような「上海へ」というこの流れは、今後も益々進むとことは確実である。

 上海は、中国いや世界の成長センターと言われる経済発展地域である。2008年の北京オリンピック、2010年の上海国際万博の開催も控え、急速な経済発展はとどまるところを知らない勢いだ。

 沖縄がその上海とのパイプを太くしておくことは、非常に切実で重要な課題である。幸いにも、沖縄〜上海は週2便の直行便が飛んでいる。「観光」「物産」「IT」と交易を太くするテーマは多い。沖縄からのビジネスの海外ターゲットとして、台北に次いで上海を位置付ける仕事が早急に必要である。県の駐在が居るシンガポールや香港や福州やソウルも大切だが、上海がより重要である。

 上海市の一人あたりGDPは約5,000ドル、沖縄の5分の1の水準だが、物価水準を考慮すると購買力は相当なものだ。マンションを買い、自家用車を買い、海外旅行を計画する人々も少なくない。日本の70年代を彷彿させるとも言われる。

 だからこそ、今、沖縄は上海とのパイプを太くする戦略をしっかりと構築し即実行する時期なのである。そのような背景を踏まえ、私のこのコーナーでは今後数回に渡って「上海」特集を連載させて頂く。ご期待下さい。 (「観光とけいざい」第631号2003年3月15日号)


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