連載 観光業界のための紙上ITセミナー・IT利用の基礎知識(24)
島田勝也((財)沖縄県産業振興公社 )


いまチャンスは上海にある(3)

■中国・上海にも政治改革の波が

 今回はITや観光とは直接の関連はないのだが、新型肺炎SARSとの闘いを機に中国の政治改革が進展しそうだという話。

 中国の胡錦濤国家主席と温家宝首相の新指導者は、今回のSARS対策で、責任者の大量処分や情報開示などの厳しい処置によりなんとか封じ込めつつある。SARS対策は5月から徐々に軌道に乗り、全国の1日平均の新規感染者は4月中旬の400人超から5月に40人超、6月2日にはとうとうゼロになった。懸念された農村部への大規模な感染拡大も現在のところは防げている。気温が下がる秋から冬の流行が懸念されているようだが、ひとまずSARSは封じ込めたと言えるだろう。

 北京での感染が深刻化した4月から胡錦濤国家主席と温家宝首相の新指導者が対策の陣頭指揮に乗り出した。そして「早期発見、報告、隔離、治療」の強い方針を打ち出した。そして、それまで「中国は安全」等と公言していた張文康衛生相や孟学農北京市長を更迭した。このことは、中国の権力体制に大きなインパクトを与えた。

 3月に発足したばかりの胡錦濤体制には“江沢民院政説”が出るほど、江沢民の影響力が強く残っていたことに国民の不満がくすぶっていた。江氏は軍事委首席に留任。党と国家の要職の多くを江氏系人脈が押さえていたからだ。

 こうした背景の中、SARS対策では胡国家主席は国民の信頼を得、院政を敷く江前国家主席への国民の目は一気に厳しくなった。真偽はともあれ、新体制の最大課題が政治改革であることは、衆目の一致するところ。

 今回のSARS騒動が中国の政治改革を促し、沖縄の隣の大市場である中国、上海より我々に近い存在になることを望みたい。SARS騒動で「中国市場はまだまだ…」という声を多く聞く。

 しかし、我々は沖縄は、今回の騒動を機に中国市場の一層の台頭は、政治改革が追い風となり本質的には逆に早まったとみて行動する必要があるように思う。 (「観光とけいざい」第636号2003年6月15日号)


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