沖縄での展開が有望なタラソテラピーについて
沖縄振興開発金融公庫調査部、公庫レポート52号から

沖縄観光速報社・渡久地明

目次

まえがき

1.ビーチ主体の沖縄観光
海水浴の始まり/数十年の歴史しかないマリンレジャー/タラソは沖縄の専売特許

2.テーマパーク(人工物)による集客効果
ホテルはリゾート施設の一部

3. 日本のタラソ的なもの−−温泉
温泉とは何か(成分)/なぜからだにいいか/ヨーロッパで進む温泉の研究・学会/温泉の暗黒時代から現代まで/タラソの発生/沖縄にはない温泉のコンセプト

4. 温泉と海水
海水と温泉水は同根/海洋深層水の活用/深層水の特性

5. フランスのタラソ
治療目的からレジャーへ/健康への強い欲求/タラソを体験する/体験談 聞睥蒜遒気鵝紡慮鈎稔◆別邵蠖親鵑気鵝法紳慮鈎稔(比嘉幹郎団長)/技術移転で協力する

6. タラソの沖縄での可能性と波及効果
タラソの集客効果/長寿、化粧品、健康食品などに波及

7. タラソに関連する新サービス・新商品
タラソの基準はゆるく規定すべき/排水の2次利用/海水淡水化装置の排水を使う/火力発電所も使える

8. 沖縄の温泉の成功事例
県内ホテルで見直される大浴場

9. タラソと医療保険制度

10. 取材メモから
クラブメッド(地中海クラブ)/ミルセブ(ブルターニュ地方貿易振興会)/ブルターニュ地方開発銀行/ブルターニュ地方観光協会/アクアトニック視察体験/サンマロセンター/モンテカルロタラソセンター/関連資料


調査団メンバー(1996年2月12日〜22日)

団長 比嘉幹郎(ブセナリゾート社長)

野崎真二(行政)、生和勉(金融)、高良和夫(金融)、諸見里安敏(金融)、高良博(建築)、渡久地明(記者)


インターネット版前書き

 沖縄公庫は96年2月に調査チームを組み、タラソテラピーの発祥地であり先進地域であるフランスのブルターニュ地方を調査しました。筆者も調査チームに加わり、その成果をもとに組み立てたのがこのレポートです。インターネット版リリースに当たり、紙出版で使った写真の大部分を省略しました。


まえがき

 ファッションとオシャレの中心地、フランスでタラソテラピーが流行っている。日本で考えると超ファッショナブルな行動様式かと想像しがちだが、実際には日本でもごく普通に行われている「温泉浴」の習慣と類似・共通点が多い。このため、タラソテラピーは温泉療法のバリエーションであるともいえる。

 沖縄観光の多様化策としても最近タラソテラピーが注目を集めている。海洋療法と訳されるタラソテラピー(以下タラソ)のコンセプトは、フランスのブルターニュ地方で生まれた。海水につかり、ジェット水流などで体に刺激を与え、傷病の回復、病気療養が当初の目的であったが、心身のリフレッシュなど最近ではフランスでもタラソがレジャー化し、当初のイメージとは異なるものに利用法が移り変わってきている。

 一方、日本にはよく似た風習に温泉治療がある。温泉の大きな目的も療養があげられるが、国内各温泉地の内容も保養・観光面に内容が変化。手軽な旅行目的として日常的に極めてポピュラーなレジャーとなっている。

 ところが、沖縄には温泉そのものが極めて少なく、県民が温泉に浸かるという習慣はほとんどない。しかし、世界有数の美しい海洋資源があり、これをタラソに向けて活用し、日本人の温泉好きという国民性と結びつけるならば、新しい沖縄リゾートの誘客力につながる可能性が大きい。

 フランスの生活様式の沖縄への技術移転という考え方をすると、温泉のイメージよりも洗練された雰囲気がただよって、ビーチリゾートとの整合性もよい。

 一方、沖縄観光は500万人の受け入れ体制を整える必要があり、その要件は低価格化、高級化、多様化、情報発信力の強化などである。タラソは沖縄観光の多様化の一環として注目すべき誘客・受け入れ施設であり、温泉観光に慣れ親しんだ国民(マーケット)にとっても受け入れやすいアクティビティーとなる可能性が大きい。

 美容・健康の面でタラソは女性ファン中心となるとみられるが、この層は「温泉は敬遠しても、タラソには行ってみたい」という層でもある。タラソには女性層の美容やリフレッシュなどイメージとしては温泉とはかなり異なる側面を持っている。ヨーロピアンスタイルのタラソを取り入れることによって温泉地とは異なる新しい沖縄のイメージ展開が可能である。

 また、タラソの派生商品としての海産物の活用に新たな道を開くとともに、海洋資源開発を通じたコスト削減など、海水の利用価値は大きい。

 ここではフランスのタラソを中心に述べるが、温泉との共通点、相違点を述べ、リゾート沖縄の戦略施設としてどのような活用の仕方があるかを考えた。その結果、沖縄のタラソの民間での導入は、必要最低限の基準でだれもが参入しやすく、拡張性に富んだものとすべきであると提言した。

 フランスでの調査内容は本文中に随時取り入れてある。フランスのタラソの現状が知りたい読者は、ヒアリング調査の全記録を一番最後の10章に一括してまとめたので、そちらを参照してほしい。


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1.ビーチ主体の沖縄観光