沖縄観光30年史■連載22
渡久地政夫(沖縄観光速報社・代表取締役)


リピーター率は63% みんなで増やす努力を

 沖縄ホテルの宮里定三さんは自分の経営するホテルとの関係でこう語った。

「ホテルの経営を安定させるコツのひとつはリピーターを数多く持つことです」。リピーターとは繰り返し利用してもらう客のこと。ひいきにしてくれる客、「顧客」の事である。

 リピーターはホテルだけにとどまらずどんな事業でも重要である。一度訪れて満足するとまた、訪れたくなり、購入したくなる。

 平成十三年版の観光要覧(沖縄県商工労働部観光リゾート局発行)によると「『不明』を除いた場合のリピーター率(二回目以上の訪問者)は六二・八%」となっている。(同書四三頁) スカイツアーズ(全国旅行業協会沖縄県支部)の堤社長も前々から「リピーターの重要性」を指摘している。

 観光要覧は沖縄の観光の内容を分析していて観光事業者にとって極めて貴重なものだ。この他にも大事なデータがつまっている。

 東、宮里両氏の話を総合すると「沖縄の観光は県内の観光事業者だけでなく、県外の事業者にとっても大事なものだ。航空、旅行、食料、印刷、媒体、燃料と関連する範囲が広い。県内でも同様で航空、旅行、運輸、印刷、媒体、食料、芸能、みやげ、娯楽、その他」となる。

 観光客一人当たりの県内消費額(平成十三年)は八万五千円で最も消費額の大きいのは宿泊費の三〇・〇%、次いで土産品費の二四・六%。、飲食費の二〇・二%と続く。宿泊、土産、飲食は沖縄観光の三つの柱と言える。この三つの質が観光を左右するといえそうだ。

 誘客に関しても一度、沖縄を訪れた人を「ご破算」にして一からやり直すとすると大変なエネルギーがいる。

 訪問客の六三%がリピーターということは新たな誘客で沖縄を訪れた人は三七%に過ぎない。しかしこの三七%がまたリピーターとなり、「螺旋状」に客が増える。

 訪沖観光客を一〇〇〇万人を目標にする事はリピーターを考えれば、決してムリな話ではない。むしろ目標達成のために県内の受け入れ業者にこのことを良く理解して、協力してもらうことが欠かせない。このリピーター対策はどうなっているのだろうか。

 かつて大田知事は宮里定三氏に「あなたが元気なうちに沖縄観光の実務面を後輩に知らすことが大事だ。そのために記録を何らかの形で残す必要がある」と語りかけるのをそばで聞いたたことがある。記録を残さないうちに宮里定三さんは亡くなった。返す返すも残念である。私も録音機で宮里さんの話を記録し、時間をかけて活字にして、沖縄観光のためにしようと企画したが、間に合わなかっ た。

 記録の大事なことはインドと中国に見ることが出来る。インドでは古くからの伝統や言い伝えを記録する事がなかったが、中国では徹底的に記録を残した。今では中国が世界で一番古い国で、貴重な記録保持者ということになっている。ヨーロッパでも一、二の国が中国のように記録を残して人類の発展に尽くしている。

 沖縄でもいつか、「沖縄観光の節目」に記録を残す事業を展開することが大事なことと思う。記録には様々なアイデアがつまっているのである。(「観光とけいざい」第633号03年4月15日号)  


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