沖縄観光30年史■連載27
渡久地政夫(沖縄観光速報社・代表取締役)


部下を信頼する >受け入れ態勢の充実とは

  沖縄観光の大先輩。宮里定三さん(沖縄ホテル社長)と東良恒さん(沖縄ツーリスト社長)のお二人について、もう少し書いておく。

 宮里さんは、「観光業をそだてるには受け入れ体制の充実が欠かせない」と主張しておられた。

 今日の長寿社会の到来を見据えていたように、沖縄ホテルの客室と浴室に二十四時間作動する非常ベルをとりつけた。

 部屋で倒れたり、フロントまでいく余裕がないときにベル一本でフロントの若い人を呼ぶ事が出来る。浴室の方もそうだ。

 沖縄のホテルでは画期的なことであった。その当時、那覇市内の売り出し中のあるホテルで入浴中のお客さんがバスタブでおぼれてなくなった。公表されなかったが、宮里さんは「これが沖縄のイメージを悪くする」と随分、気にしていた。

 南西航空の前の社長を勤めた庵原社長にぶしつけにきいたことがある。

 「社長は飛行機の最終便が無事、着陸したという報告があるまで心配で、眠れないでしょう」

 庵原社長はさすがに一瞬、顔をくもらしたようだったが、

 「いつも出かけるときは行く先をウチのものにいっておく。事故が起こっても責任者の私には連絡がつくようになっている」

 社長はなお、語をついで、

 「しかし、一番のコツは部下を信頼することだ。自分の部下が下手をするはずはないと信頼することなんだ」

 私にも経験がある。昔、琉球新報の社会部長をしていたとき、午前一時すぎ、輪転機が聞こえ、暖かい(不思議と暖かいものである)、刷り上がったばかりの朝刊を当直の記者がもってくる。ミスはない。

 後はライバルの沖縄タイムスに抜かれていないかだけだ。午前六時タイムスが配達される。もし、ラジオか共同通信が世界的なニュースを流すと、そのときはベテラン記者がいたほうが勝つ。

 「いつも遅いのね」

 「いやどんな事件が起こるか、抜かれていないか分からないから、時間で勝負するのだ」

 「部下を信頼しておれば大丈夫よ。ぬかれても抜き返せばいいでさしょう。いつもいっているじゃない」

 「部下を信頼する」そのためには手当もライバルなみにならないとだめだ。読者は紙面しか見ないんだ。いつも後追い紙面ばかりでは読者は経る。これが新聞作りのコツなんだ。(「観光とけいざい」第638号03年7月15日)  


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