沖縄観光30年史■連載28
渡久地政夫(沖縄観光速報社・代表取締役)


広報は最強の営業

■販売に直結する情報を集める

 沖縄ツーリストの東良恒社長はかねがね

 「広報は最強の営業である」

 といっていた。

 良く世界各地の観光地の話をしたものである。

 たとえば「台北の西門町は夜になると多くの人でにぎわう。昼間は暑いから昼寝して夜、涼しくなってから家族ででかけるのだ。ここでは生きた蛇や生きたカメをうっている。蛇は料理して食べるのだが、これがうまい。また台北から高雄まで行く急行列車ではボーイが大きなやかんをもってきてお客にお茶の接待をする。日本では考えられないサービスだ」。

 タイでのゾウの背中に乗ってのサービス、シンガポールでの体験、ロンドンでは、パリでは、北京では、ホノルルで、ニューヨークではと話は世界中におよぶ。

 こんな話を聞くと世界平和がいかに大事か、実感としてわかる。話が佳境に入ったところで一冊の本をとりだした。「台湾観光協会ニュース」である。

 そのニュースに東さんの話の所々が書いてある。重要な所は赤い線がひいてあった。旅行のプロの東さんは世界各地から送られてくるニュースに目を通し、販売に直結する情報はつねに集めていたのである。そこから東さんに「情報は最強の営業だ」といわしめたのである。

 ある日、月刊沖縄の佐久田社長と我が社でお茶をのんでいたとき、佐久田社長が

 「沖縄ツーリストの東社長は偉いね。無一文から沖縄一の旅行社を育てあげたのだからね」

 いつも辛い事ばっかりいって敬遠される彼がこのようなことをいうのは珍しい。「へー、世間の評判はこんなものなのか」と改めて感じ入った。

 いま、私がもっとも興味があるのは、スカイツアーズの堤朗社長である。この若い社長は、不思議な魅力の持ち主である。堤さんと話していると、元気がでてくる。

 この不況下でこういう個性の持ち主は貴重である。私は落ち込んだとき、堤社長にあい、元気を回復することにしている。私一人の感じかと思っていたら家内もそう言うので、改めて見直している。彼は全国旅行業協会の役員をしており、沖縄にとって面白い存在である。

 堤社長と東社長の共通点は二人とも「企画」がうまい点と前途に明るさを忘れなかった点である。堤社長はいままでの沖縄商品の企画を練り直し、化粧し直して販売した。これがヒットした。また慶良間諸島を集中的に売り出し、全国区に仕上げた。いずれもこれまで見向きもされなかったところを再評価したのである。

 旅行業はこのように企画一本で売り出せるところが面白い。

 この点は新聞の企画と似ている。私が琉球新報の社会部長をしていたとき、本島中部方面で部数をライバルと互角に持っていけと沖縄市に派遣されたことがあった。「互角になるのであれば、どんな企画でもよい」というのが当時の社長の密命であった。

 那覇からバスに乗り、宜野湾の郊外を走っているとバス路線の脇で大勢の人の歓声が上がっている。

 「あの賑わいはなんだ」

 と支局員に聞くと「闘牛大会です」という。中部地区では各地で毎週、土、日曜日にはこんな闘牛大会が開かれる、という。

 さっそくとびついた。「どの様にして大会の告知をしているか」調べ見ると、二段五センチくらいのスペースで対戦相手の牛の名前が列挙してある。

 早速、闘牛連合組合の組合長に会い、実情を聞いてみた。牛の主は自分の牛を子供のようにかわいがり、もし勝ったら、その日は親戚、知人、ファン、地域の人たちが集まってお祝いが始まる、という。

 「これだ」

 私は密かにプランを練った。(「観光とけいざい」第639号03年8月1日)  


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