沖縄観光30年史■連載35
渡久地政夫(沖縄観光速報社・代表取締役)


情報提供が大事

■米国民政府はうまかった

 これまで、沖縄の観光業界についてとりあげたが、この後は沖縄の観光業界が直面してしていることを二、三指摘しておく。

 まず、「情報提供」である。「広報」といってもよい。日本全国の企業は「広報」を専門に扱っている部署があり、外部に対する広報を徹底させている。販売、部門と同等かまたは広報を重視しているところもある。

 沖縄でも主な官庁は記者会見をしばしば行っているが、中には「時間の無駄」の記者会見もある。

 記者会見で多くの記者を集めて「胸を張って説明」するのは、いい気持ちかもしれないが、問題は中身である。交通混雑のなか、忙しい記者が、時間をかけて駆けつけると公表するのは大したことはないことばかり。

 そこで、発表したいことがあれば、郵送で送る事をおすすめする。

 発表物でいいシステムを持っているのは日本航空と全日空、それに県内ではJTAである。この航空三社は発表が数字が主であるから当然だが、ついでに色々な物を活字で発表している。FAXの場合もある。

 ついで官庁では税関、郵政公社などがすぐれている。

 米国民政府が沖縄にあった頃は県庁に報道各社の資料受けのボックスがあって、報道資料はこのボックスに入れる事になっていた。夕方になると社の誰かが、この資料を社に持帰ってきてきて、担当者にわたしていた。

 県内の新聞二社、テレビ三社、ラジオ三社、それに本土の有力新聞社四社、通信社二社が主なところである。これだけに郵送するのにたいした手間と費用はかからない。

 せいぜい百円前後だ。

 この文書を報動機関では「プレスリリース」といっているが、琉球民政府(米軍)は英文と日本語文、それに写真を付けて発表していた。ほとんど使い物にならずくずかご行きだった。米国の琉球統治の一端を示す物として興味深い。実物は南風原町の県公文書館にある。

 似たようなケースに「一フィート運動」というのがあった。かつての沖縄戦の模様を記録映画として米国に残しているのを県民が資金を出し合い米国から買い集めたものである。この映像には非戦闘員の県民の老若男女が米兵に収容されるシーンや激烈な戦闘シーンが生々しくおさめられている。このフィルムは現在どこに保存されているか分からないが、沖縄を訪れる全国の修学旅行の生徒に見せることで平和を考えるきっかけと なろう。

 これらはいずれも情報提供に関係するものだが、観光業界だけでは情報提供にも限界がある。何とかして沖縄の総合的な情報を集めて提供する部門が欲しい。

 これらのことは情報の提供がこれで良いのかという課題をつきつけているといえる。

 琉球新報、沖縄タイムスは共に部数は二十万部を突破しているといっているだけに広報には両紙を利用しないテはない。両紙の読者は戦後からの人が多いというだけに貴重である。選挙公報も両紙に配布を頼むほどである。

 だから、対外的な広報は両紙を利用した方が効率がいい。この点では広告スポンサーはよく知っている。

 だが大部数を誇る両紙にも「弱点」はある。(「観光とけいざい」第646号03年11月15日)  


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