沖縄観光30年史■連載37
渡久地政夫(沖縄観光速報社・代表取締役)


専門誌・紙の役割

■社会が多様化し、必要な機能

 地元の琉球新報、沖縄タイムス共に発行部数は二十万部を突破し、県内では「圧倒的な力を発揮する有力な報道機関である。

 先に両紙共に「弱点」があるといったのは観光に限ってのことである。本土で観光事業に関しては専門の報道機関がある。それを見れば観光についてはすべてわかるようになっている。朝日や毎日、読売などの一般紙の他に専門の報道機関がある。

 専門家もそれぞれ専門の報道機関を利用している。

 社会が発達すればするほどこうした専門の報道機関は必要になってくる。本土では自動車、金融、住宅、鍋釜、教育、海事、建設、航空、食料、農業、証券、体育など、あらゆる種類の専門の報道紙誌がある。

 沖縄が決定的に遅れているのはこうした報道機関が存在しない点である。 

 泡盛などを専門に報道している友人がいる。この友人は泡盛に関しては泡盛業者よりもくわしい。

 同様に沖縄建設新聞というのもある。沖縄では専門紙といえばこのくらいしかない。沖縄の泡盛業界の動きを知りたければ、あるいは沖縄の建設業界の動向を知りたければ、この専門の新聞をみればすぐに分かる。建設業界の人もこの専門の報道機関を大事にしている。沖縄の建設業界、泡盛業界が今日のように発展し、今後もなお隆々たる勢いにあることはこうした専門の報道機関のかげの力があるのだ。もし本土の人が「沖縄の泡盛の事を知りたい」と言う人がおれば、一も二もなくこの報道機関を紹介する。

 この専門の報道紙にはタイムス、新報両紙では到底得られない情報をもっているのだ。

 この点では観光業界は専門紙にたいし理解は少ない。恐らく沖縄の観光が今後発展するには専門の報道機関が必要になってくるだろう。揺籃期の今はまだそこまで育っていないのだ。観光業界はすそ野が広いとよく言われる。そのすそ野の動向を知るためにも本紙のような専門紙が必要なのだ。

 かつて県の観光局長だった人が東京に出張して沖縄に帰り、空港からタクシーに乗ったら、運転手が窓からたばこの吸い殻を窓からぽんと捨てる。めざとく見つけた局長は名刺をだして名乗り、美しい街をつくり、「観光客を温かく迎えるには地元の人々の心がけ一つだ」と車をおりるまでさとした。

 観光宮崎を実現した県知事は自分の乗用車に無線電話を取り付け、ゴミがちらかっていたり、清掃がゆきとどかなかったりしているのを見かけると電話で担当者を呼び出し、すぐにかたづけさせたという。これはかつて本紙が報道したものだ。

 こんな局長や知事が沖縄にいるだろうか。観光立県などと口でいい、「立県宣言」も出すが予算といい、姿勢といい、一つもいいところがない。本当に沖縄の事を考えているのか、疑問に思う。

 最近の例では本土の大新聞の社会面トップに「沖縄のタクシー運転手が観光客を空港からのせると売春の斡旋をし、土産物屋や観光地巡りをすすめられて閉口する」と大々的に報じられた。記事の出所は総合事務局の陸運課(タクシーやバスなどの許認可、指導をする担当課)だから穏やかでない。この報道を見てタクシー協会や県のリゾート局はどういう判断をしているのだろうか。

 この記事のフォローをする報道機関もみあたらない。

 抜かれたれらすぐにおっっかけるのはいやだから、何らかの「企画物」でとりあげるつもりかも知れない。それを期待しよう。

 台湾ではもう二十年も前の話だが「恥」という新聞広告が問題になった。観光業界の人が日本人と見ると売春を斡旋するというのだ。

 最近の問題は中国本土で何百人の日本人観光客が集団で売春行為をやったというのがある。いずれも観光と関連しているのが共通している。観光にはいい点がたくさんあるが、悪い点もある。わるい所をどうやってなくすか、いま問われているのである。(「観光とけいざい」第648号04年1月1日号)  


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