沖縄観光30年史■連載38
渡久地政夫(沖縄観光速報社・代表取締役)


観光とは変化価値だ

■自然のよさ、もてなしの心

 「観光とは変化価値だと思う」と言ったのは宮里定三氏である。もし沖縄が東京や大阪の近くにあり、何の変化もなければ今までと違った観光をすすめなければならなかったろう。

 沖組ツーリスト東良恒社長にも同じ様な質問をしたことがある。東社長は直接はこたえなかったが、こんな例をはなしてくれた。

 台湾の台北かち南の高雄まで汽車で行くと途中でお昼になる。すると列車の乗務員(たいてい、男である)がきて弁当とお茶を配る。日本では列車はいつも満員で通路まで人が乗っているからとてもこんな事はできない。こんなかわったことに触れると「旅にきたな」と実感するという。

 「青い海。青い空」誰がいいだしたのか、知らないが沖縄の自然をあらわしていていいキャッチフレーズだ。宮里氏が自然を強調したのに対し東氏は、人じゃないとできない「もてなし」の心を強調した。

 この二つは沖縄では時には表になり、ときに裏にまわって全体像を表現する。これがあると沖縄の観光も大丈夫だ。

 東さんのいうとおりかどうか、台湾に行ったおり、列車に乗った。お昼になると乗務員が来て温かい弁当を配った。お茶もある。その弁半はごくふつのものだったが、おいしかった。台湾が好きになった。

 沖縄の海の色のキレイさでは観光客が驚嘆するほどだ。私の好きなところは五十八号線を那覇から北に走ったとき、嘉手納をすぎて左手に琉球村を見下ろし、やがて東支那海がパッと広がるあたりだ。右手に山が迫り、正面にルネッサンスリゾート、波がうち寄せ海岸に白い帯をつくる。向こうにムーンビーチがある。ここの海の色は青というより、緑色をしている。

 観光バスのガイドさんも「皆様、これが世界に誇る沖縄の海でございます。染料を流したような、緑色をしていますが、染料ではありません。この海にはいっても、染まるようなことはありません」というような説明をするだろう。ここに展望台を設ければ観光バスも利用するのではないかと思う。

 この他にも本島内を調べれば適地がたくさんあるに違いない。この展望台にはトイレ、売店などを配置して利便を図るといい。観光地には親切が大事である。先に述べた台湾の例も親切さという観点からすればこれ以上の親切さはない。

 県内の道路標識について「もっと標識を増やして、観光客が迷わずに済む方法を考える方がいい」といったら総合事務局の係官は「そんなことをしたら、みんな自分の所の案内標識を勝手に立てて。道は標識しきだらけになってしまう」という。はじめからやる気はないから、それ以上言わなかったが、問題意識を持っていないのに驚いた。それにしてもレンタカーの人達は、案内標識無しでどうしているのだろうか。カーナビだけで用は足りているのだろうか。(「観光とけいざい」第649号04年1月15日号)  


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