沖縄観光30年史■連載45
渡久地政夫(沖縄観光速報社・代表取締役)


自然が観光の目玉である

■いまの動きは戦時中の「捨て石作戦」

 観光客の動きを見ると面白い。ものをつくって売る場合は、つくったものを移動して買って貰わないといけないが、観光の場合はお金を持った人たちを誘致してお金を消費して貰う。結果的に外貨(沖縄の場合は日本円の獲得で、外貨ではない)、つまり、人を誘致することは外貨獲得をしたことになるのである。だから県も観光関係者も来訪観光客の数字に一喜一憂するのである。

 ここに観光の特殊性がある。それでは観光客を誘致するための方法は何だろうか。諸外国の場合をみるとその手段がわかる。

 台湾では土地に根ざした習慣、生活、食事(中華料理)がわれわれを惹きつける。香港では西洋の文化とアジアの文化が混じり合ったものが何ともいえぬ情報をわれわれに提供する。

 ハワイではポリネシアと西洋の現代文化が入り交じって魅力となる。

 では沖縄ではどうだろうか。もちろん、自然である。青い空、青い海が代表的なものである。その美しい自然の中に棲む自然の動植物である。この自然と動植物は日本では貴重なもので亜熱帯であるから見られるものである。

 その自然を壊す動きがあるのは残念でならない。北部の美しい海を埋め立てて飛行場をつくろうという動きもそのひとつである。

 沖縄には美しい自然がたくさんある。それが売り物である。それは今後も変わらないことはいうまでもない。

 実は沖縄は豊かな自然を活用できたから観光・リゾート施設が他の地域に比べて安くつくることができたのである。もしこの自然がなければ、ディズニーランドを造って誘客の目玉にしなければならないところだった。が、その投資をしないうちに五百万人の観光地が実現したのである。もちろん、自然の他に大規模なテーマパークなどができればさらに強力な観光地になるのはいうまでもない。

 現在の世界にはいろいろな動きがあり、毎日の生活に追いまくられているわれわれには分からないこともたくさんある。その中で自然を守ろうというのはなかなか大変だと思うが、沖縄の自然を守るのが観光関係者の仕事と考えれば少なくとも自然破壊のいかなる動きにも反対せざるを得ない。ことは沖縄の自然が破壊されようとしているのだ。

 観光関係者は自然をこわそうとする動きには断固反対すべきなのだ。観光関係者からこのような反対の動きが出てこないのはいったいどう考えたらいいのか。人にはそれぞれ立場があり、その立場を表明すべき時がある。観光関係の組織はこの際、はっきりした態度を表明してはどうだろうか。その判断の根底は自然保護であることはいうまでもない。

 いまの動きをみていると戦争中の「捨て石作戦」を連想する。だから観光組織が態度をはっきりさせることが大事ではないのか。

 ここで少し説明しておくと「捨て石作戦」とは「囲碁」の捨て石からきたもので囲碁ではより以上の利益を得るために作戦としてわざと相手にとらせる。現在の効果はないが、将来の利益を予想してする行為(大辞林)である。また、大辞泉では、自分の形勢を有利に導くために相手にとらせるようにうつ石、鉱山や炭坑で捨てられる、価値のない石。ずり、ぼた、とある。

 捨て子をみると、父親や母親が自分で育てるべき子をこっそりすてること。また捨てられた子、とある。「捨てる」にはあまりいいイメージはない。(「観光とけいざい」第656号04年5月合併号)  


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